静かな図書館では、イヤホンをしながら勉強している生徒や学生の姿を見かけます。
物音が気になって集中できない人や、家では生活音が勉強の邪魔になり落ち着かない人も多いようです。
本人が集中して勉強できるのであれば問題はないように思えますが、効率的ではなく、集中できていないのではないかと心配する声もあります。
本記事では、勉強中の音楽は邪魔にならないのか、メリットや効果と注意点を解説します。
勉強中の音楽が集中力を高める理由
音楽を聴きながらの勉強は、学校の教師や塾講師のなかでも賛否両論がある難しい問題ですが、集中力を高められる理由は3つあります。
ドーパミンの分泌
ドーパミンは音楽を聴いたり、よい香りを嗅いだりすると分泌される幸せホルモンの1つです。
お酒を飲むとドーパミンの分泌が増えて楽しい気持ちになるなど、興奮すると分泌されるイメージがありますが、やる気を高める効果が期待できます。
何か楽しいことをやりたい、人のためになることを始めたいなど、高揚感を得ようとするとドーパミンが分泌されます。
セロトニンの分泌
セロトニンは安心感とリラックスの神経伝達物質で、ストレス緩和にも有効です。
自律神経を整える性質があり、リラックス効果が高くなり、記憶力アップなど脳の働きが活発になります。
早起きすると頭がスッキリして勉強によい環境にできるのも、良質な睡眠でセロトニンが分泌されるからです。
音楽を聴いてストレスが緩和されると、気持ちに余裕や安心感が生まれます。
失敗を繰り返していても、チャレンジする前向きな気持ちになれるでしょう。
アルファ波
音楽を聴いてセロトニンが分泌されると、脳内にはアルファ波が発生します。
その作用でリラックスできてストレスが軽減し、集中力が向上する効果は、科学的にも立証されています。
アルファ波が出やすい音楽としてはモーツァルトの楽曲や、1/fゆらぎを感じられる小鳥のさえずり、波の音などが有名です。
心身をリラックスさせ、情報を的確に記憶させられる状態になるため、効率がアップします。
勉強中の音楽によって得られるメリット
音楽は人を幸せな気持ちにさせてくれる素晴らしい文化です。
好きな曲を聴いたほうが効率的に勉強できる人もいれば、普段は聞かないような音を耳にするだけで集中できるケースもあるでしょう。
音楽を聴かない人や、音があると集中できない人からすれば考えられないかもしれませんが、勉強中の音楽は周囲の音を遮断し集中力を高める効果があります。
雑音が気にならなくなる
私たちは毎日の生活のなかで、たくさんの音に囲まれています。
普段は気になりませんが、机に向かったときに家族の話し声などが気になるときもあるでしょう。
夜は特に音が響くために、車が走る音や犬の鳴き声、ジョギングする足音などが耳に入ると気持ちが乱れてイライラしてしまうこともあります。
他人には気にならない音も、本人が雑音として意識してしまうと、ストレスのもとになりかねません、
外の音を遮断して音楽に集中すると、気持ちが落ち着き集中して勉強できます。
勉強中に、自分が好む音以外はシャットアウトしたい人には有効な方法です。
モチベーションがアップする
勉強は知識や見識を広げるために必要だとわかっていても、自分が苦手な科目や不得意な範囲はやりたくない気持ちが大きくなります。
受験勉強は基礎からやりなおしたり復習したりするのがメインとなり、モチベーションが保てず投げやりになるケースもあるでしょう。
好きな音楽を聴くとドーパミンが分泌されて、脳が興奮状態になります。
ライブやコンサートで好きなアイドルやアーティストの姿を見ながら、曲を聞いて気分が高揚するのと同じ原理です。
机に向かってもやる気がでないときや、勉強に集中できないときは、好きな音楽を聴くと気持ちのスイッチが切り替わりモチベーションがアップします
集中力が改善する
気持ちを落ち着かせる音楽や、好きな音楽を聴くと、リラックスして集中力が上がります。
音楽によってセロトニンが分泌され、脳波の状態がアルファ波になるからと考えられているからです。
気分を高揚させたりリラックスさせたりと、音楽は私たちの感情を揺さぶる効果があるとわかっています。
電車が到着するのを音楽で知らせたり、音楽を鳴らして時刻を知らせたりして、人の五感を刺激して連動させる仕組みも各所で見られます。
語呂合わせで年表を覚えたように、音楽に乗せて暗記すると、脳内で曲を再生するだけで思い出しやすくなる効果もあるでしょう。
勉強疲れが取れる
勉強は大切ですが、適度な休憩を入れないと体の血行が悪くなり、目の疲れなどの疲労感を覚えます。
疲れたまま勉強を続けて苦手な科目を勉強すると、問題が解けずにイライラが溜まってストレスになり、やる気がなくなるでしょう。
体を動かしたり外の空気を吸ったりしても、気持ちが勉強から離れてしまうと、再開するまでに時間がかかります。
学習した内容を定着させるためにも、集中してモチベーションを持続させなければなりません。
体を動かすにしても、好きな音楽を聴きながらのほうが気持ちもスッキリしますし、音楽を聴きながら仮眠をとると頭もスッキリします。
リラックス効果が得られる
セロトニンによって気持ちがリラックスできれば、勉強で疲れた体もほぐれていくでしょう。
体のこわばりが取れますし、音楽を聴いてリフレッシュすると気持ちが落ち着きます。
頭を整理する余裕ができるため、計画どおりに勉強を進められ、難問に対しても気負いせずにじっくり取り組めるでしょう。
リラックス効果が持続すれば、質のよい睡眠が取れて、翌日も勉強に集中できます。
長時間の勉強は集中が持続しにくく、一度途切れてしまうとエンジンがかかるまで時間がかかってしまいます。
音楽を取り入れて、適度にリラックスするのは効率的な勉強方法の1つです。
勉強中に音楽を聴く際の注意点
音楽は集中力アップやリラックス効果など、勉強によい影響を与えますが、デメリットもあるため注意が必要です。
デメリットを踏まえたうえで、勉強中の音楽とどのように付き合っていくかを考えましょう。
どのようなときに勉強と音楽を両立させればいいのか、音楽がないと勉強に集中できないのかを考えるチャンスです。
静かな環境では勉強できなくなる
勉強中に音楽を聴くとモチベーションアップする人もいれば、静かな環境のほうが気持ちを高められる人もいます。
自宅学習では効果を発揮する勉強方法であっても、受験会場は無音で、音楽を聴きながら試験は受けられません。
音楽に頼りすぎてしまい、静かな環境では集中できなくなると、大事な場で実力を発揮できなくなります。
静かな環境でも集中できて、モチベーションが持続できるような勉強方法を身に着けておくのも大切です。
集中力が低下する可能性がある
音楽を聴くと勉強に集中できて、自分のモチベーションを継続できるようになると、成績が上がり自信もつくでしょう。
ただし、本人が一生懸命勉強した結果であって、音楽のおかげだけではありません。
静かなほうが集中できる人が、急に音楽を聴きながら勉強しても同じような効果が得られるとは限りません。
何をすれば集中力を高められて、勉強に対してモチベーションを上げられるのかは、人によって違います。
静かに瞑想してから机に向かうと、集中して勉強できる人もいれば、勉強前に体を軽く動かすと気合が入る人もいるでしょう。
音楽に気を取られて集中できないケースや、リズムが崩れてしまうケースも少なくありません。
音楽に夢中になってしまう
音楽のよいところはイメージすることで音楽と気持ちを1つにできるところです。
失恋ソングを聴けば悲しくなりますし、応援ソングを聴けば元気になり前向きな気持ちにもなれます。
リラックスしたり、イメージでモチベーションを上げたりと、音楽には不思議な魅力があります。
素晴らしい効果がある音楽ですが、歌詞があるものを聴くと意識が音楽に向いてしまい、勉強の内容が頭に入らなくなります。
無音では落ち着かない、集中できないのであれば歌詞のないBGMを選ぶなどの工夫が必要です。
科目によっては音のないほうが集中できる
リラックスしすぎてしまい、うわべだけの勉強になり、理解ができていないようでは困ります。
気がゆるむと集中力が低下し、何度も同じところを勉強しなければなりません。
勉強中の音楽が効率アップにつながる人であっても、暗記科目や複雑な文章問題の場合には、音を消して集中したほうがいいでしょう。
雑音が気になり集中できないため音を必要とするのであれば、音楽ジャンルを変えて、歌詞がない静かな音楽を聴くなどの工夫をしてみましょう。
勉強中に聴きたいおすすめの音楽
音楽を聴くと集中できるのであれば、メリットを活かせる曲を選びましょう。
好きな音楽が、必ずしもよい影響を与えてくれるわけではありません。
勉強中は心を穏やかにして、集中できる精神状態を作れる、自然な音楽や音がおすすめです。
クラシック
クラシックはアルファ波を促しリラックス効果がある音楽として、さまざまな現場で利用されています。
モーツァルトの楽曲には、人間が敏感に感じ取る高周波音が含まれているため、緊張をほぐし集中力を高める効果があります。
暗記科目が苦手なときや、短時間で集中したいときにおすすめです。
クラシックでは眠くなってしまい、はっきりした音楽が好きな人には一定のリズムを刻むロック音楽もいいでしょう。
勉強中にずっと聴くのには向いていませんが、勉強する前に聴くと自律神経が整い、頭の中がスッキリします。
アンビエント(自然音)
鳥のさえずりや川のせせらぎなど、自然の中にいるような疑似体験ができる人気の音楽です。
クラシック音楽と同じような効果が得られ、気持ちを穏やかにしてくれます。
目を閉じて深呼吸しながら音楽に耳を傾けると、自然の中にいるような気持ちになり落ち着きます。
受験前の緊張から解放されるために、音楽を聴くのもおすすめです。
気持ちが高ぶる人は、アロマオイルなどの自然の香りと一緒に利用してもいいでしょう。
勉強中よりも勉強前の音楽に効果あり?
音楽を聴くと集中できる人もいれば、できない人もいるでしょう。
そのときの気分や科目によっては、静かに勉強したほうがよい場合もあります。
音楽を聴きながらの勉強は、集中できるできないに個人差があります。
集中力を上げたいときや、気持ちを勉強モードにしたいときには、勉強前の音楽がおすすめです。
お気に入りの音楽を聴いてリラックスできれば、静かな環境でもやる気を保ったまま勉強に集中できるでしょう。
勉強中に音楽がなくても集中するコツ
テストや受験の会場では音楽を聴けません。
本番に向けて、音楽がなくても勉強に集中できるコツを紹介します。
勉強スケジュールを決める
机に向かってから何を勉強するか決めるよりも、ある程度スケジュールを立ててゴールを決めておくと、モチベーションを向上させられます。
苦手科目は休日にじっくり取り組むなど、自分が集中して勉強しやすいように計画を立てておきましょう。
必要なものは用意しておき、机に向かったら勉強が始められるようにしておくと集中できます。
1日の目標を自分で決めておけば、どれくらいで終わるのかの目処が立ち、勉強がはかどります。
集中しやすい環境にしておく
机の上が乱れていると気が散って集中の妨げになるので、整理整頓しておきましょう。
勉強中はスマートフォンを身近な場所に置かない、家族も部屋に出入りしないなど、ルールを決めておくとスムーズです。
自宅では落ち着かないのであれば、図書館や市民センターの自習室などを利用するのもいいでしょう。
自分が集中して勉強できる場所を確保すると、気持ちを切り替えられます。
適度な休憩で息抜きをする
長時間勉強していると集中力が低下し、スマートフォンで動画やSNSを見てダラダラしがちです。
1時間に1回程度は休憩を入れて、体と頭を休ませましょう。
軽いストレッチや音楽を聴いてリラックスして、温かい飲み物を飲んで一息入れるのもおすすめです。
集中力が高い人でも、疲れている頭に詰め込んでも定着しません。
心身をリフレッシュすると、やる気や集中力を回復する効果があるため、気分転換を上手に取り入れてください。
まとめ
勉強中の音楽は、メリットにもなる人もいれば、デメリットになる人もいます。
自分に適した音楽との付き合い方で、効率よく勉強できるように工夫しましょう。
集中して勉強できる環境を整えたい場合には、個別指導塾の利用を検討しましょう。
東大個人指導塾では、現役東大生がマンツーマンで指導します。
勉強への取り組み方がわからず、成績が上がらなくて困っているのなら、気軽に相談してみてください。