自分の進学先や夢のために中学受験をするお子さんが増えています。
「小学生からの受験は親のエゴ」など、否定的な意見もありますが本当にそうでしょうか。
受験をきっかけに、驚くほどに成長するお子さんがいるのも事実です。
本記事では、中学受験は意味がないと言われる理由や受験のメリット、乗り切るためのポイントを解説します。
中学受験は意味がないと言われている理由
私立中学を受験するお子さんが増えていますが、良い印象を持っている方は少なく「大人が子どもの自由を奪っている」と反対する意見もあるでしょう。
中学受験は意味がないと言われてしまう理由を、4つの視点から解説します。
習っている以上に難しい勉強が必要
中学受験は小学校6年間の知識が試されますから、子どもが時間を勉強だけに使うのはどうなのかと意見が多いのは事実です。
受験を決めたら、中学年から合格に向けて勉強しなければなりません。
基本的な勉強をこなすだけでなく、習っていない分野にも早くから慣れて知識として身に着ける必要があります。
真面目に勉強していたから、テストの点がいいだけでは合格できないのが中学受験です。
思考力や理解力がなければ、受験に合格するどころか入学しても、子どもがつらい思いをするだけです。
本人にやる気がない以上は、親がどんなに頑張っても簡単には合格できないでしょう。
志望校に合格できないこともある
中学受験すれば、エスカレーター式で高校・大学に進学できると勘違いしている方も多いようです。
合格はゴールではなく、スタート地点が他のお子さんより前になったということを理解しましょう。
希望の中学校に入学しても、勉強をしなければついていけなくなります。
モチベーションを保ちながら勉強を続けないと、内部進学の合格点に行かず、高校受験しなければならない例は多いです。
無理に受験をさせなくても、中学校生活の中で自分の進路を決めて、高校からにすべきと考える方も多いでしょう。
心身的なストレスがかかる
どんなにしっかりして勉強が好きな子どもでも、1日中勉強ばかりしているとストレスは溜まります。
中学受験を受ける子どもは、マンガも読まずゲームもやらない、学校と塾の往復で友達とも遊ばなくなるイメージが強いかもしれません。
子どもが自主的にやればいいのですが、親からの無言のプレッシャーで自分の意見が言えなくなるのではと心配する声もあります。
勉強が中心となってしまう生活は、子どもの時間を奪ってしまうのではという理由で中学受験には消極的な家庭もあるでしょう。
金銭的な負担が大きい
中学校までは義務教育ですから授業料は無料ですし、制服や教材代が必要なくらいで大きな負担はありません。
中高一貫、成績を満たせば大学まで進学できるケースもあります。
そうなると、公立中学から高校に進学する子どもと比較した場合、金銭的負担がかかる期間が長くなります。
合格するためには家庭学習だけでは十分ではありませんので、塾などを利用する家庭もあるでしょう。
子どもが生まれてから、教育資金を貯蓄していたとしても、年間での金銭的な負担は大きくなります。
塾代金
中学受験に必要な費用の中で、もっとも負担になるのが学習塾です。
「学習塾には通わない」「タブレット学習させる」ご家庭もあるかとは思いますが、中学受験した子どもの8割以上は、塾を利用しています。
小学校4年から6年までの3年間で、約250万から300万程度が必要です。
家庭学習に使うタブレット端末代金
2023年からは小学校でタブレット端末が配布され、宿題や予習復習などに利用されるようになりました。
使い方になれてしまえば効率的に勉強ができるため、受験用にタブレット学習を検討しているご家庭もいるでしょう。
中学受験向けのタブレットも多く、苦手な科目をタブレットで徹底的に勉強すれば、塾効果と合わせて合格へ近づけます。
受験料
志望校だけを受験するのか、複数の中学校を視野に入れるかによって費用に違いがあります。
通常は3万円程度ですが、併願校を多く受ける場合にはかなりの出費です。
一度出願すると、試験を辞退や欠席はできますが、受験料の払い戻しはできません。
最初の時点で合格が一校もないと、安全校を受けるようにスケジュールを変更する例もよくあります。
交通費など
遠方であれば、車での送迎が必要になるのでガソリン代がかかりますし、約3年間行うのですから、かなりの金額になるでしょう。
受験当日は、中学校まで交通機関を使うか、車での送迎となるので交通費がかかります。
中学受験のメリット
受験は子どもの意志があってなので、本人が希望するのであれば、大きな意味があるでしょう。
受験を経験すると、精神的な成長が見られたり、勉強に対する意識が高まるなどのメリットもあります。
自分が選んだ学校で高校まで過ごせる
子どもが目標としている・やりたいことが、受験した中学校でかなえられるのであれば、充実した学生生活が送れるでしょう。
学校の特性に合わせた子どもが集まってきますので、友達も作りやすくなりますし、目的に向けて勉強が進められます。
公立中学校にはない部活やカリキュラムがあるので、知的好奇心が満たされ、精神的な成長にもつながります。
高校受験がなければ、部活や習い事に時間を使えますので、子どもの個性を伸ばしやすくなるでしょう。
大学進学への準備を整えられる
エスカレーター式で進学できますから、次のステップへ準備する期間に余裕が持てるのもメリットといえそうです。
中高一貫校では、進学を視野に入れたカリキュラムが組まれています。
公立中学校よりも授業内容が濃く進んでいますから、外部の大学受験をする場合にも余裕を持って準備ができるでしょう。
子どもに合った環境で長所を伸ばせる
学校により教育理念が違いますので、子どもの性格や能力が伸ばしやすいところを選べます。
子どもの性格が教育方針や校風にあっていれば、周囲からも刺激を受けやすくなり、長所が伸ばしやすいでしょう。
高レベルの教育を受けさせたい・海外の大学進学を検討しているなど、学習面でも中学受験することで得られるものは多いです。
困難に打ち勝つ精神力を鍛えられる
中学受験のための勉強は、小学校で学んだ内容だけでなく一歩先を行かなければいけません。
目標があるとは言っても、小学生が未知の勉強を進めるのは簡単ではありませんから、悩んだり苦しむ時間が多くなります。
当然、解けない問題は多くなりますし、全国模試の結果を見て落ち込むこともあるでしょう。
どんなに勉強ができる子どもでも、何度も挫折を味わうくらい、中学受験は過酷です。
経験は子どもの精神力を鍛えますし、乗り越えて前に進む力を得られれば、解決力が身につきます。
中学受験のデメリット
目標のために、自分が選んだ学校で伸び伸びと成長してくれるなら、親としてはこの上ないのない喜びです。
中学受験にはメリットだけでなくデメリットもありますので、理解した上で受けるかを決めていいでしょう。
自由時間が少なくなる
志望校合格を目指すならば、時間のある限りに勉強するのが一番有効な方法です。
塾に通ったり家庭教師から学ぶなど、下校後の勉強でどれだけ多く学べるのかがポイントでしょう。
受験する仲間がいればいいのですが、そうでない場合には一緒に遊んだり出かける時間が少なくなります。
勉強が中心になり自由時間が少なくなると、友人との距離が広がり孤独を感じるようになるでしょう。
受験のためとはいっても、自由時間を減らして勉強ばかりするのは小学生には苦痛です。
学校でも塾でも家でも受験の話ばかりなので、ずっと勉強することを強制されているとモチベーションも下がってしまいます。
勉強することがつらくなる・嫌いになる
多感な時期に勉強中心の生活を送り、友達と距離ができてしまうと「勉強を強制されている」ように感じます。
学校と塾を往復、家でも親から受験や模試の話をされてしまうと、気持ちに余裕がなくなりモチベーションも下がります。
モチベーションが保てなくなると、効率が悪くなるので勉強に身が入りません。
周囲からのプレッシャーで心が折れてしまうと、勉強そのものに魅力を感じなくなり、やる気が失われていきます。
ストレスがたまる
模試で思うような成績が残せないと、不安な気持ちが大きくなり受験がつらくなっていきます。
孤独なまま受験へ進んでしまうと、合格してもモチベーションを保てません。
合格できるかわからない不安を、小学生が抱えたままで努力し続けると、プレッシャーで押しつぶされてしまいます。
精神的なストレスは見た目にはわかりませんし、親の期待に応えたいと思う子どもほど精神的に追い詰められやすいようです。
中学受験を乗り切るために必要なこと
大人は「勉強をしっかりしているのだから合格する」と言いがちですが、受験はそんなに簡単なものではありません。
中学受験は、時間をかけて乗り越えていくものですから、体力はもちろんですがプレッシャーに負けない強靭な精神力が必要です。
中学受験の目的をはっきりさせておく
自分がどうして中学受験を決めたのか、明確な答えを子ども自身が持つのが大切です。
中学受験は、親のサポートが不可欠なので口出ししたい気持ちはわかりますが、子どもの意見を尊重しましょう。
親の見栄で子どもを受験させるのではなく、子どもの将来を本人が決めた方向で進んでいくのをサポートします。
受験する学校に入学したら何がしたいのか、どんな風に学生生活を送りたいのか、ビジョンをハッキリさせておきます。
周囲の声に惑わされない
中学受験を目指すと、周囲からいろいろ言われたり聞かれたりするでしょう。
同じ受験生の親から模試の成績の話を聞いたり、志望校の話を聞くチャンスもあるかもしれません。
他人の話を聞いて迷ったり、不安になったりしても得るものはなにもありません。
聞き流すくらいの強靭な精神力を持つのは、受験に勝ち残るための方法と言えます。
適度な息抜きも必要
朝から晩まで勉強すれば合格できるものではありませんし、スイッチを切り替える柔軟性も長くなる受験勉強には必要です。
音楽には心を安定させたりリラックスさせる効果があります。
好きな音楽を聞いたり、音楽に合わせて軽いストレッチをし体をリフレッシュするのもいいでしょう。
勉強以外のことに目をむけると、気持ちを切り替えて勉強に集中できます。
中学受験が向いている子
中学受験をする子どもが増えている中、自分の子どもが望むなら受けさせたい家庭もあるでしょう。
合格するには、モチベーションを継続できるかがポイントです。
勉強や知識が増えることが好き
中学受験を乗り切るには、とにかく勉強をするしかありませんから「勉強が好き・楽しい」と思える子どもが向いてます。
入学後も授業内容は難しくなりますし、高校に進学すればさらにハードルが上がります。
中学から高校までの6年間、挫折せずに勉強を続けるモチベーションを保つには、勉強が好きでなければ続きません。
目的や目標がある
将来の夢が明確にある子どもは、夢のためならつらい勉強も頑張り通せるでしょう。
形がなく漠然とした夢であっても、専門的な知識が必要な職業は、それに応じた学校で学ぶ必要があると理解すれば頑張れるはずです。
勉強をさせるのではなく、楽しんでできる環境があれば自然と机に向かいます。
知的好奇心が旺盛である
勉強は好きじゃない、でも興味のあることは夢中で調べたりしている。
このようなお子さんは、スイッチが入ると驚くほどに勉強に夢中になります。
知的好奇心や探求心が強いお子さんの方が、勉強が好きなだけの子どもより伸びしろが大きく、合格しても自発的に勉強を続けます。
中学受験が向いていない子
将来の夢が漠然としている子どもは、長丁場になる中学受験には不向きな一面があります。
無理に押し付けるのは良いことではありません。
勉強が好きではない
窮屈な勉強は好きではない子どもは、スケジュールを立てて勉強しなければならない中学受験には不向きです。
将来的なビジョンがないことも、勉強をしようという気持ちになりにくいのかもしれません。
無理にやらせても続きませんから、まずは自主的に勉強するようなリズムを作りましょう。
本人に中学受験の意思がない
親がどんなに中学受験をさせたくても、本人にやる気がなければ無意味です。
勉強ができる子どもが全員中学受験を希望しているわけではありませんので、子どもの意思を尊重し高校進学に向けてサポートしてください。
まとめ
中学受験は、目標をしっかりもった子どもには有意義なものです。
子ども自身の実力が評価される試験ですから、確実に将来のビジョンがあるのであれば中学受験は意味があるものになるでしょう。
能力や長所を伸ばし、自信をもった子どもが大きく飛躍する環境は中学受験によってもたらされます。
子どもが中学受験を望むのであれば、計画的な未来のために親はしっかりサポートしてあげてください。